Q.社団たる医療法人の運営機関について教えてください。

A.社団たる医療法人の運営機関には、社員総会、理事会及び監事があります。一方、財団たる医療法人の運営機関には、理事会、評議員会及び監事があります。
これらのうちの社団医療法人については、社員総会が最高意思決定機関で、法人運営の重要事項については社員総会の議決が必要となります。社員総会には、定時総会のほかに臨時総会が存在します。
社団医療法人の各運営機関の概要は、以下の通りです。

1.社員総会
法人が行う全ての行為は、法令等、定款、社員総会の決定に拘束されます。理事長でも一人で処理することは不可能です。
日常の業務等は、社員総会等により委任されているとみなしますが、一定の範囲に収まらない新規の業務(借入金、改修工事、予算に計上されていない高価な物品の購入等)は、法人の最高意思決定機関といえる社員総会の議決で決定を行う必要があります。
社員総会の開催は、定款の定めにより定期的に行うことが必要です。臨時総会の開催は、定款の定めるところにより、議決すべき議題があるときは、その度に行うことができます。

2.理事会
理事会は、社員総会において決定した事項を執行する機関といえます。
なお、理事会を監査する機関は、監事です。

3.監事
医療法人の内部管理のために、業務や財産等の監査を行う人のことを、監事と呼びます。株式会社では監査役に該当し、原則として1人以上置く必要があります。第五次医療法改正により、監事の業務の強化が図られました。社団医療法人の監事の業務は、次の通りです。
(1)医療法人の業務を監査すること。
(2)医療法人の財産の状況を監査すること。
(3)医療法人の業務又は財産の状況につき、毎会計年度、監査報告書の作成をし、その会計年度終了後3ヶ月以内に社員総会又は理事への提出をすること。
(4)(1)又は(2)の規定による監査の結果、医療法人の業務又は財産について不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実があることを発見したら、都道府県知事又は社員総会にこれを報告すること。
(5)(4)の報告のために必要があれば、社員総会の招集を行うこと。
(6)医療法人の業務又は財産の状況につき、理事に意見を述べること。
監事は医療法人の業務や財産の状況を監査することから、現実には法人監査業務の実施が不可能である人が名目的に選ばれるのは適当とはいえず、公平に財務諸表を監査できる人が選ばれることとなっています。
そして、監事は監査業務を行うことから、独立性を担保する必要があります。それゆえ、監事は、理事又は医療法人の職員との兼務が認められておらず、また、他の役員と親族関係等の特殊な関係にある人であってはなりません。